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ダウン症は、出生時に気付くこともあれば、そのあとの成長に伴いわかる場合もあります。一見すると、ダウン症とは気付かない軽度の人もいれば、合併症のリスクが高い・知的発達が遅いなどの重度のケースもあります。
ダウン症は外見が特徴的であるということが挙げられますが、ダウン症の人すべてがそれに当てはまるのかといえば、必ずしもそうとは限りません。また、ダウン症の軽度や重度というのは明確な基準がなく、知的発達の度合いを含めた医師による確定診断が重要になってきます。
今回は、ダウン症の軽度と重度の症状の違い、知的発達の度合いなどについてまとめましたので、参考にしてください。
目次
ダウン症は、症状に個人差がかなりあります。顔つきや体つき、合併症の程度などで、軽度から重度の違いが出てきます。
軽度のダウン症の場合、生活にほとんど支障がないこともあり、周りが気付かないというケースもあります。
普通に生活をしていて、成人後は社会環境にも溶け込んで生活できている人も少なくないのです。
こうした症状の違いについて、明確な基準はないのですが、現時点では知的発達の度合いによって軽度や重度といった判断がされているようです。
この知的発達の度合いは、手当などを受ける療育手帳の発行にも使われ、またダウン症の確定診断は医師によって行われるのです。
万が一、自分の子供がダウン症かもしれないと思ったときには、専門医に相談するのが無難だといえるでしょう。
では、軽度のダウン症の症状について見ていきましょう。
ダウン症には3つのタイプがありますが、中でもモザイク型の場合は、症状が軽度だといわれています。
モザイク型は、染色体異常がある細胞と、正常な細胞が入り混じっている状態で、比較的症状が軽いのが特徴です。もちろん、モザイク型でなければ軽度のダウン症ではないのかというと、そんなことはありません。まず、軽度の基準ですが、知的障害が軽いことが挙げられます。IQの目安が51~70未満がそれに当てはまるとされていて、自立した生活が可能で、周りとのコミュニケーションが比較的とれるケースです。同年代の人と比べると、やや未熟な感じはありますが、小中学校などでは一般のクラスで生活できることも少なくありません。
そのため、軽度のダウン症は気付かないということになるのです。
そして、合併症の発症が少ないという点でも、ダウン症が軽度と判断される目安になります。ダウン症では合併症が多く、それが生活自体に支障をきたすことが多いのですが、軽度の場合にはそのリスクが低いといわれています。
次に重度のダウン症について見ていきましょう。
ダウン症が重度の場合には、知的障害も重度となります。IQの目安は20~35未満とされ、食事や入浴・排泄といった日常生活は、常に援助が必要になるのです。
また周りとのコミュニケーションに関しては、単語を使った簡単な会話が中心となります。身振り手振りで意思表示をする人もいるでしょう。そして、ダウン症が重度の場合、合併症に注意が必要になります。
主な合併症としては、心的障害や循環器障害、運動障害や視覚障害が挙げられます。特に、心疾患や循環器系の病気は、直接命に関わることも多く、幼少時に命を落としてしまったというケースも以前は多かったのです。
最近では医学の進歩もあって、早い段階で合併症に気付き治療を行うことで、命に関わる事態を避けることが可能になりました。ダウン症自体の治療方法は確立されていないのですが、合併症の治療は進んでいるので、健康的な生活を送ることができるようになってきています。ただし、命に関わらないとはいえ、視覚障害や聴覚障害が合併症として出てしまうと、それが日常生活に大きな支障をきたす可能性もあります。
ダウン症が重度の場合には、合併症には常日頃から注意を払う必要があるといえるでしょう。
ダウン症の重度・軽度については知的発達の度合いで判断するのですが、この知的発達の度合いとは具体的にどういった分類になっているのでしょうか。
知的発達というのは、いわゆる知的障害の分類であって、厚生労働省の基準では、大きく4つに分けられています。主に知能指数(IQ)によって分類されて、IQが70以下だと知的障害に該当する可能性があるのです。
ただし、IQが低いだけでは知的障害とは判断されません。適応能力にも制限があり、こうした症状が発達期に現れていることが前提となります。「最重度」「重度」「中度」「軽度」に分けられますが、ダウン症の場合には、中度や最重度の判断が難しく、軽度か重度といった判断になります。
もちろんこうした分類は、本人の能力に直結するだけのものではなく、国からの援助の違いや知的障害の度合いをはかるために設けている基準となっています。さらにこうした基準を決定するのは、専門的な知識を持った医師であり、「確定診断」を行って決定します。
軽度のダウン症は一見すると気付きにくいかもしれません。軽度であれば生活に支障が少ないかもしれないのですが、何らかの治療が必要になることもありますし、周りの理解が重要になります。
軽度や重度では、それぞれ対応方法が変わりますが、どちらにせよ、ダウン症だと判明したら最適な対応をすることで、命に関わるリスクの回避が可能になります。そうすることで、本人にとっても居心地の良い生活を送ることが可能になるでしょう。