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下垂足(かすいそく)という言葉をご存知でしょうか。下垂足は、足関節運動に対して麻痺が生じている状態のこと。
かかとを軸につま先だけを上げる(背屈)ができなくなってしまうため、歩行にも影響が出ます。
今回は、下垂足の原因や症状、改善のために使われる装具などについてお話ししていきましょう。
目次
下垂足(かすいそく)とは、腓骨神経(ひこつしんけい)が圧迫されたり、損傷を受けたりすることで、足関節運動に対して麻痺が出るものです。
腓骨神経は、下肢の外側から前面にかけて走行している神経のこと。
この部分が何らかの圧迫や衝撃を受けると、足の動きが悪くなり、痛み(腓骨神経痛)が出ることもあります。
わかりやすいところでは、長時間座っていることにより起こる足のしびれ。
これはこの腓骨神経を刺激していることが原因です。
そして、腓骨神経麻痺の影響で、かかとを軸につま先だけを上げる(背屈)ができなくなってしまいます。
下垂足になると、足首に力が入らず、歩行時につま先下がった状態となってしまいます。これが、いわゆる下垂足なのです。
下垂足の原因や症状について見ていきましょう。
下垂足の主な原因としては、腓骨神経の圧迫や損傷が挙げられます。
腓骨神経は、ひざ下から足首にかけて走行していて、外部からの刺激を受けやすいのが特徴です。
足を組んでいることが多い人、骨折などでギブス固定をしている人、長時間仰向けに寝た状態になっていた人などは、下垂足になりやすい傾向にあります。
下垂足の症状は、足首の動きが悪くなることです。
また、足の感覚障害としてのしびれ、痛みが出るケースもあります。
腓骨神経の麻痺は、足関節の動きに直結します。
つま先を上げて歩くことができないため、足首がダランと下がったままになり、つま先が地面に引っ掛かりやすくなります。
そのため、足を放り出すような歩行(鶏歩)になってしまうのです。足の踏ん張りもうまくできないため、バランスが悪く転倒しやすくなります。
下垂足は腓骨神経の圧迫によって起こりますから、まずはその圧迫を取り除くことが大切です。
ひざを組むことが多い人はそれを修正するだけで症状が改善することもあります。
改善方法としては、運動療法やストレッチ、医療的ケアがありますので、医師に相談の上で改善を試みてください。
足の上げ下げ(足首からつま先を上げる)や、足の指をそらす動作を行います。
基本的に神経が圧迫されて麻痺が起こると、筋肉の動きが悪くなり萎縮が始まります。
筋肉の萎縮は、筋肉の緊張を起こしやすくなり、下垂足の場合には足首の筋肉がさらに硬くなってしまいます。
それをほぐすために、ふくらはぎからアキレス腱にかけてストレッチを行い、柔軟性を保つことで下垂足の改善につながります。
下垂足や腓骨神経の麻痺の状態によっては、内服治療や電気刺激を用いることがあります。
また、神経そのものが損傷してしまった場合や、数か月運動療法を用いても改善が見られない場合には、手術療法が行われるケースもあります。
下垂足のリハビリテーションとして、ストレッチは有効ですが、装具などを用いることで歩行動作や安定性の確保が可能になります。
下垂足に用いられる装具です。足首を90度に固定して、つま先が下がらないようにする役割があります。
また足底から足首をしっかりとホールドしてくれるので、歩くときにつま先が地面に引っ掛かることを予防すると同時に、歩行の不安定さも解消できます。
下垂足で「装具は必要ではないけれど、やはり不安定さが気になる」という場合には、インソールを用います。
インソールと聞くと、靴の中に入れる厚みのあるクッション材と思いがちですが、下垂足対応のインソールは、立体的な構造になっていて、アライメントの調整も可能です。
外側にバランスが崩れてしまうことをサポートしてくれます。
下垂足の場合、装具やインソールも重要ですが、靴自体の検討も大切になります。
特に、オルトップなどの装具を使わないときには、足首を90度に固定できるブーツ形状の靴が適しています。
足首の固定は、そのまま足全体のホールド力を上げてくれることになりますから、装具やインソールと合わせて考えることが重要です。
また、足首を使わなくとも体重移動ができるようなローリング加工や、フレアー加工という、靴底外側の設置面積を広くする方法を取り入れることもおすすめです。
下垂足は、腓骨神経の麻痺が原因ですが、自分で気を付けることで改善が期待できることもあります。
ただし、下垂足が起こること自体、神経の圧迫や筋肉の緊張がひどくなっていることが考えられるので、ひざ下から足首にかけてのしびれや、歩き方の違和感があれば、早めに医師に相談することをおすすめします。
下垂足の場合、装具を用いることで歩行時の負担が軽くなる可能性もあります。
医師に相談の上、症状に合った足用装具を選んでください。