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ダウン症の大人はいないって本当?データでみる寿命と実態

ダウン症とは、染色体の分裂異常が原因で起こる、先天性の疾患です。多くが21番目の染色体が2本ではなく、3本の「21トリソミー」といわれています。染色体異常の原因は、まだ詳しく分かっていませんが、以前は短命で長くは生きられない、ダウン症の大人はいないとされてきました。ですが、最近では、このダウン症の大人は増えてきています。つまり、ダウン症の人の寿命が延びてきているということになります。
ここでは、その理由も含めて、ダウン症の人の寿命や、長生きするためにはどうすれば良いのかなどお話ししていきましょう。

ダウン症の大人はいないって本当?データでみる寿命と実態

ダウン症の大人はいないの?

ダウン症=大人までは生きることができない、これがダウン症という病気が発見されたときにいわれていたことでした。確かに、1960年代ではダウン症の人の寿命は10歳前後でした。この数字をみると、ダウン症の大人はいないという結果になってもおかしくありません。ですが、最近では、ダウン症の人の平均寿命は約60歳となっています。つまり、60年の間に50歳の平均寿命が延びたことになります。特に2000年あたりから、ダウン症の人の寿命が長くなり、現在に至っています。もちろんダウン症でない人の平均寿命に比べれば、まだ低いといえるのですが、ダウン症の大人は確実に増えてきているといって良いでしょう。

参照:21トリソミーのある方のくらし

ダウン症の人の寿命が短い理由は

ダウン症の人は短命である、これには理由があります。その一つが、未発達の状態で生まれてくるケースが多いことです。体機能が未発達ということは、免疫機能も未発達ということになるので、脳性麻痺や聴覚低下が起こりやすいです。医療が発達していなかった時代には、出産直後に死亡してしまうということが非常に多く、これが寿命を短くしていた原因の一つでもあります。また、出産を無事に乗り越えたとしても、心身機能の未発達は、さまざまな合併症を引き起こしやすくなります。

内臓も発達しきれていない状態ですので、心疾患などが起こりやすく、ずっと治療を行わなければならないことで、体が受けているダメージが寿命を短くしているとも考えられているのです。治療に適した薬も、以前は種類が少なく、適切に使えなかったということもあるかもしれません。また、ダウン症の人は、体力面でもダウン症でない人に比べて弱いため、大人になってから急激に老化現象が始まるともいわれています。この老化現象が、急激に起こる理由もはっきりとはしていませんが、寿命を短くしている一因であることは確かでしょう。

ダウン症の寿命は延びてきている?

1960年代のダウン症の平均寿命が10歳前後に比べれば、最近の平均寿命が60歳前後というのは、寿命がかなり延びていることになります。ダウン症の人最長寿命は、78歳11カ月となっており、ギネス記録となっています。このダウン症の人の寿命が延びた理由としては、医学の進歩が大きく関係しているのです。

ダウン症の子供が生まれたときに、何らかの異常があっても以前は対処できず、死亡してしまったというケースが多かったのですが、最近では出産直後から心疾患などの手術が可能になり、治療も早い段階からできるようになりました。さまざまな合併症の治療技術も上がり、ダウン症の人だけでなくそうでない人の平均寿命が延びていることに大きく関係しているのでしょう。さらに、治療を継続する環境も整って、ダウン症の大人がいないという社会ではないという時代になっているのです。

ダウン症の人が長生きするためには

ダウン症の大人がいないといわれるほど、ダウン症の人の寿命は延びてきていますが、そうでない人に比べるとまだ短いのが現状です。そこで、ダウン症の人が長生きするためには、どんな配慮が必要なのでしょうか。ダウン症の人は、内臓疾患や合併症との戦いが必須です。特に出産直後に、どういった部分に疾患があるのかをいち早く発見することで、さまざまな治療が可能になります。そして、年齢が低いうちは、定期的な検診が大切です。普段からの様子の変化を、親御さんがよくみることも大切ですが、詳しい検査を定期的に受けることで、早い対応ができるようになるでしょう。学童期は、偏食や肥満のチェックも大切です。肥満は、合併症などの原因にもなりやすいので運動不足にならないよう配慮する必要があります。

思春期には、精神的に不安定になりやすいので、体調管理とともに精神面のフォローも重要です。さらに、大人になってからは、合併症もそうですが、生活習慣病の予防にも努めなければなりません。特に、肥満は生活習慣病の原因になりやすいので、運動不足にも注意し、健康的な生活を送ることが長生きの秘訣ともいえるでしょう。また、精神的な健康という面でも、ダウン症の人にはフォローが必要です。社会全体でダウン症の人の支援をするということも、健康的な生活ができて長生きするという重要なポイントとなるでしょう。

まとめ

ダウン症の大人はいないのではなく、現在はたくさん存在しています。ダウン症の人もその人らしく、健康で楽しい生活が送れるように、社会全体でのフォローと医療面での定期的な支援が、より長く生きることができることにつながることでしょう。

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